© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

京都で起業する若い人が増えてほしい

京都には、物づくりへの真摯な取り組みが良しとされる、作り手の心を支えるような雰囲気があります。けれども、情報の発信力が弱い分商業的に成功しにくい面もあります。物づくりの心と商業的な成功、この両方が成り立つようにしていくことはここで営む私たちの使命です。京都じゃなきゃダメだという思いを持って起業する若い人達が増えていくよう、京都にいることの面白さを感じてもらえるようなものの一つになりたいとも考えています。そのためにも、強いコンテンツを生み出そうと日々仕事をしています。竹笹堂には、いつもいろんなジャンルの人が集まって何かを作って楽しもうとする自然発生的な流れがあるのがおもしろいですね。5代目の竹中さんは楽しみ方のオピニオンリーダーのような存在。どんどん人が繋がって、木版画を通して、まさに京都じゃなきゃダメなんだということを起こしていると思います。僕もそこに魅力を感じていますし、それはこれから事業を立ち上げる方たちのひとつのヒントにもなるのでしょうね。

自然発生的な流れがおもしろい

渡邉倫久

MICHIHISA WATANABE

株式会社プーゼフルール 代表取締役 http://www.pousse-kyoto.com/

京都在住。同志社大学大学院修了。株式会社プーゼフルール代表取締役。株式会社スタイルアクティブ代表取締役社長。大学卒業後、 音楽家としての活動やフリーランスのヘアメイクを経て 1991 年創業(美容業・生花販売業)。2000 年より東京・コンシピオレコードに 所属し音楽作品を発表。2001 年分社株式会社スタイルアクティブ(カドリエ)設立。同志社ビジネススクールと伝統産業との 連携プロジェクトではコンセプターとして国内外の様々な企画に関わる。2013 年京都商工会議所クリエイティブ産業モデル企業認定。

© 2014 Takezasado

“限り” を決めずにコラボレートできるのが楽しい

「IMAUKIYOE」は、健司先生(5代目)に摺ってもらうなら、こういう絵がいいなと思って描きました。ぼかしやグラデーションなど、木版の技をたくさん入れてもらうことを願って。私も健司先生に木版画を習っていたので、なるべく難しいことをやってもらいたくて(笑)。よく私の絵が木版っぽいと言われることもあったので、私らしい所と合わせて完成したものです。和紙のボコボコしている部分とか、摺った感じの色や風合いのおもしろさは、触ってもらわないと良さが伝わらないのが木版の難しい所ですね。昔の職人の世界って、女性はいなかったですよね。女性が絵を描いて、女性が摺るって、昔では考えられなかったこと。私の作品を裕子さん(6代目)に摺ってもらっているのを見て、女性に摺ってもらうのもいいなと思いました。男女両方の摺師が同じ工房にいることがとても貴重だなと思います。最初のシリーズとしては10作品ですが、仕事としての“限り”を決めずにずっと続けていきたいです。これから何ができるかは健司先生次第ですね(笑)。私からも何かを投げないといけないですし、投げかけられたい。「IMAUKIYOE」は、絵師としてコラボレートする楽しみを与えてくれています。

“絵師として “今” の浮世絵を発信したい

KUNIE KANBARA

http://www.kuniekai.com/ イラストレーター

1978 年生まれ、京都在住イラストレーター。1999 年大阪のラジオ局 FM802 のビジュアルに採用され、ロゴマーク、 ポスターなどを制作。その後、書籍の装丁、CD ジャケットのアートワーク、アパレルや呉服メーカーでのブランド・ デザイナーとしても活動する等、ファッション、音楽、広告のフィールドでイラストをベースに多方面で活動している。 著書「ECHO(FOIL)」「すりばち眼鏡(ロッキング・オン)」など多数出版。

カンバラクニエ

© 2014 Takezasado

摺師との初顔合わせで獲得した「ONE SHOW DESIGN」

数年前からグラフィック専門誌に僕自身のデザインについて特集してもらえることになり、著名人が並ぶ中でなぜか僕が選ばれたんですよ。紹介されている皆さんは世界の賞を獲っている方ばかり。「世界に日本の良き文化をデザインに取り入れて、上手く出来ないかな」と思って、いきなり竹笹堂に電話したのがきっかけです。僕があまりに無知すぎて、木版制作がいくらかかるのかも分からず、B1サイズを想定してたら、そんなサイズはないと言われたり。即座に雑誌に掲載された僕の記事を送ったら会ってもらえることになって。初めは自分のオリジナル作品を作成するつもりでしたが、何度もお会いしているうちに竹笹堂のポスターを作る事になりました。その後、2013年には、そのポスターが、世界三大広告賞の一つ「ONE SHOW DESIGN」で銅賞を受賞することができて、うれしかったです。木版は印刷では出せない風合いがあり、使用する紙によってもまた表情が違ってきます。今の技術で、これまでやったことのない表現や新しい見せ方を模索して、世界の賞にもチャレンジしていきたい。健司さん、裕子さんとのコミュニケーションを大切にしながら、日本と海外との化学反応を起こして、いろいろな試みをしていきたいです。

木版とデザインで化学反応を起こす

YOSHIKI UCHIDA

http://www.cosmos-inc.co.jp 株式会社 cosmos 代表

アートディレクター。博報堂クリエイティブ・ヴォックスに3年間フリーとして在籍後、2004年cosmos設立。広告クリエイティブのデザインにとどまらず、商品デザインやアート本「Kanamono Art Ⅰ・Ⅱ」(誠文堂新光社)を出版するなど、その活動は多岐にわたっている。主な受賞歴 D&AD(英)銀賞/銅賞、One Show Design(米) 銅賞/Merit賞、 NYADC Merit賞、CLIO Awards Short list など。

内田喜基

© 2014 Takezasado

「より美しく、より面白く」この思いが原動力です

私はもともと鹿児島出身で、テレビで観た“京都”に憧れて、京都の大学へ進学しました。きっかけは漠然とした憧れで来ましたけれども、そのおかげで京都の伝統工芸である「木版」に出会えました。もし、個人で版画をやっていたらきっと趣味で終わっていたでしょうね。今年から新卒で入った摺師の後輩は、テレビで観た「IMAUKIYOE」がキレイだなと思って入門してきたんです。私自身がそうだった ように、こんな風に小さな情報からも連鎖が起こっていくんだなって、あらためて感じています。これまで来る物事を必死でクリアしてきて、木版がいろんな形で展開できるようになって、「より良い 版画を作りたい」というシンプルな思いが強くなりました。より美しく、より面白いときめきある物を生みだすことを日々考えています。憧れの京都で、町家で、師匠がいて、人が集まって、刺激を受けて世界が広がっていく。この場所にいられることが幸せです。木版と、ウェブ媒体の「つつはな」を通して、また誰かの所に届いて、素敵な花が開いてほしいなと思っています。

憧れの京都で起こる楽しい “連鎖”

原田裕子

YUKO HARADA

竹中木版 竹笹堂 木版師 http://www.takezasa.co.jp

竹中木版の6代目。2002年大学在学中より竹中健司に師事し、卒業と同時に竹笹堂に入社。伝統的な摺りの仕事に留まらず、国内外での展覧会、ワークショップや雑誌、CM等メディア出演を通じて木版の世界の認知に努めている。女性らしい感性と職人の技術を持って、竹笹堂のオリジナル商品の企画・制作をはじめ、「京都手帖(光村推古書院)」の装丁・挿絵を手掛けるなど、木版デザイナーとしても活躍している。

© 2014 Takezasado

お気に入りを見つけた時、人は話したくなります

「木版っておもしろそうだな」と思って取材に伺った時から「竹笹堂」とのご縁が始まりました。あれから10年近く経ったでしょうか。紙物が好きで、皆さんの人柄に惹かれて通っているうち、気づいたら編集長に任命されてました(笑)。京都で長年、物づくりの現場を取材してきて、木版をブックカバーにした発想がとても新鮮で、何かさらに広げていけないかなと考えています。ブックカバーの図柄からイメージできる“本”を組み合わせてはどうだろうとか。例えば、「嵐が丘」の物語に「稲光」のカバーを合わせて、読みながら雷おこしみたいなお菓子を食べるとか、「薔薇」のイメージでマリー・アントワネット気分に浸るとか。そういうコーディネートで読書会をしたり、物を手にしたその先にある世界も提案したい。現段階では妄想で、野望ですが(笑)。お気に入りの物を見つけた時、人は饒舌になります。キラキラした物との出会いは、思わず誰かに話したくなるもの。「つつはな」のネーミングは、竹笹堂のみんなで何度も話して決めました。昔は千代紙にも包み紙にもなった木版をきっかけに、おしゃべりが弾んで、楽しい時間を包んで放(はな)っていくお手伝いができればと思っています。

物との出会いから始まる物語-ストーリー-

中野弘子

HIROKO NAKANO

竹笹堂WEBマガジン「つつはな」編集長 http://mariagehiroko.blog.fc2.com/

京都生まれ、京都育ち。京都の女性情報誌「Leaf」編集長時代に「町家でごはん」を企画し、町家ブームを起こす。現在は、京都コーディネーターとして、企画監修や執筆を担当し、伝統文化・芸能の執筆にいそしむ。淡交社より著者名・古瀬ヒロにて「京都謹製きもの和こもの」「京都いっぴん日用品」などを上梓。’14年4月より、京都観光おもてなし大使就任。

© 2014 Takezasado

“クリエイティブ”はいつも身近にある

生活の中での物との関係性を見直す場に

「つつはな」は、読者が京都を体験するための入口であり、大きな案内役になりますね。こういう媒体は、遠くに届く情報源。名前も津々浦々っていう響きにもつながる感じでいいですね。僕はやはり常に物づくりをベースに考えていて、ここで話されることは“クリエイティブ”であってほしいです。物づくりに携わる者だけじゃなく、昔は一般的にも“生活を作ること”をやっていたんだと思うんですよ。だけどすべてが便利になったばかりに、作るという行為が生活の中から無くなってしまった。お爺ちゃんお婆ちゃん達が、一通りの物を三通りにも使いこなす能力って、すべて生活の中で身につけてきたんですよね。それが今は普段の生活の中でできなくなってきている。それは「ライフスタイル」という言葉のもとに、消費の細分化をしてしまった結果ですね。器の上にどんな料理を盛るかというのもクリエイティブのスタートだと思うし、生活の中に作る行為をどんどん放り込んでいくことが学びに変わっていくと思うんですよ。気候風土やその土地だからこそ必然的に生まれてきた道具のことや方法など、作るという行為の中で得られる学びを「つつはな」で話して、伝えていきたいですね。

服部滋樹

SHIGEKI HATTORI

graf 代表 http://www.graf-d3.com/

1970年生まれ、大阪府出身。「graf」代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科教授。美大で彫刻を学んだ後、インテリアショップ、デザイン会社勤務を経て、1998年にインテリアショップで出会った友人たちとgrafを立ち上げる。grafでは代表を務めるほか、建築、インテリアなど空間に関わるデザインやディレクションを行う。プロジェクトではブランディングディレクションなどコンセプトを抽出しデザインで翻訳するように様々なアウトプットを行っている。近年では地域再生などの社会活動にもその能力を発揮している。

© 2014 Takezasado

体験によって知識が “知恵” になります 。

地域に貢献することがホテルとしてのあり方

今回、この座談会に集まった方々は、京都の伝統工芸をはじめ、国内外で物づくりに携わる方や 経営手腕を発揮する方まで幅広いですね。この顔ぶれで、伝統工芸やいろんなアートの知識を活かした“暮らし”そのものをプロデュースしたり、暮らしの道具を生みだしていくことは、大変有意義なことだと思います。実際に訪れて、京都で育まれてきた物事、例えばその地で収穫された物を食べて感じること、触感など、体験してこそ分かる魅力があります。そういった場所を提供できるのがホテル、宿泊という空間です。お客様はホテルの周辺地域を理解して滞在されるとより興味も深まりますし、ホテルとしては地域に貢献していくことが理想的なあり方だと思っています。地域と言えば、京都府美山町の茅葺き屋根の古民家を宿泊施設にするというプロジェクトも進行中ですね。野菜を作って、将来版木になる桜を植林して、養蜂もして。いろんなことをそこでやって、食も文化も地産地消していけばいい。体感することで最初は単なる知識だったものが“知恵”に発展していくのです。

横山健一郎

KENICHIRO YOKOYAMA

ハイアットリージェンシー京都 総支配人 http://kyoto.regency.hyatt.jp

1984 年、東京ヒルトンホテル入社。以降、「グアムヒルトンホテル」「東京ベイヒルトン」「シャングリ ラ ペナン」など国内外のホテルで経験を積み、 パークハイアット東京、ハイアットリージェンシー大阪を経て、’ 05 年 7 月より「ハイアット リージェンシー 京都」総支配人に就任。 ハイアット インターナショナルの京都進出という新たな第一歩を担う。豊富な海外経験で培った国際感覚と東京・大阪でのネットワークを生かし、 地域とホテルの融合を図り、新たなハイアットの文化の創造に取り組んでいる。

© 2014 Takezasado

木版で“日本”を発信していきます

京都全体が一つの大きな“工房”なんです

昔から京都は、“勝った人(時代の覇者)”が政治経済の中心にいて、その時代の流行を生み出し、全国に発信してきた場所です。職人達も切磋琢磨して、技術も感性も磨いて、次々にええもんが生まれてきました。工芸から建築まで、あらゆる職人達が勢揃いしている京都は、街全体が一つの大きな工房のようなものです。職人工房として、いわゆる京都ブームに乗っかった「京都○○」みたいな売り出し方はしたくないと思ってきたんですが、産地としての京都(MADE IN KYOTO)なんやから、素直に使えばいいんやって気づいたんですよ。京都生まれのええもんとして皆さんに認知されて、暮らしの身近な物として使ってもらいたいですね。これから、木版を通して“日本”を世界に発信していきます。国内外を問わず、アイデアや素材を持ってる人、作る人、いろんな人達と出会って、おもしろいもんを作っていきたい。それぞれの道で活躍してる人達が出会って、どんどんパワーアップしていくのって、すごくおもしろいですね。それから「つつはな」創刊にあたって、こんなにクールな場所でかっこいい方々と撮影させてもらえて、「大人になるっていいね!」っていうのが今回のオチです(笑)。

竹中健司

KENJI TAKENAKA

竹中木版 竹笹堂 代表 http://www.takezasa.co.jp

1891年創業、竹中木版5代目。木版印刷プロモーション会社「竹笹堂」代表取締役。京都木版画工芸組合副理事長、京都版画出版協同組合理事、文化庁選定「浮世絵木版画彫摺技術保存協会」理事、京都市立芸大非常勤講師。職人の木版印刷技術を駆使した作品は、ボストン美術館・ホノルル美術館・フランス国立図書館で所蔵されている。国内外のアーティストとコラボレーション制作やワークショップなど、木版技術の継承と共に新しい試みを意欲的に行う。2013年、内田喜基氏との共作が世界三大広告賞「ONE SHOW DESIGN (米)」BRONZE PENCIL賞、「D&AD AWARD (英)」IN BOOK賞を受賞。

© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

© 2014 Takezasado

編集後記

インタビュー風景

「TUTUHANA つつはな」創刊にあたって

稀少な珊瑚と藁など筒の中に巣を作る蜂の「つつはな」にちなんで名付けました。海と山の美しい自然、そよぐ風、心地良さ、そんな響きをイメージしながら、木版で“包んで 話す時間”を楽しんでほしいという思いを込めました。 2年ほど前、当時の竹笹堂森愛歩店長の「リトルプレスを作りたい」というひと言がきっかけとなり、代表の健司さんが「木版はいにしえの印刷会社やからぜひやろう」とGOサインを出してくれたことから、このプロジェクトが始まりました。 このたびようやく、季刊のWEB版でスタートすることができました。いずれは紙媒体のリトルプレスとしても発売し、「つつはな」発信の文房具企画なども考えています。これからも人との出会いを大切にしながら、木版と雑貨と世界のおもしろいことを発信していきたいと思っていますので、気長にのんびりゆるゆると私たちとの時間をお楽しみください。

「つつはな」編集長  中野 弘子
竹笹堂 クリエイティブチーム一同

企画 / 制作 :竹笹堂「つつはな」クリエイティブチーム

TAKEZASADO TUTUHANA CREATIVE TEAM

  • Editor in Chief
    中野 弘子
  • Photographer
    たや まりこ
  • Graphicdesign
    白川 諭
  • Web Director
    三ツ木 隆将
  • Web Design(竹笹堂)
    森 恵美
  • Media Director(竹笹堂)
    加藤 光穂
  • Planning(元竹笹堂店長)
    森 愛歩
クリエイティブチーム 中野・白川 竹笹堂木版グッズが並ぶ インタビューイメージ
「つつはな」ロケハン風景 カメラ たやまりこ 竹笹堂木版雑貨が並ぶ 木版手摺りブックカバー

© 2014 Takezasado